テレビ新広島「ひろしま満点ママ!!」で紹介されました。

開業直後の2020年2月13日、テレビ新広島「ひろしま満点ママ!!」で放送されました。
古い映像ですが、当店のわかりやすい紹介としてご覧ください。

『本とこラジオ(主宰:矢萩多聞)』に出演しました

少し前の記録になりますが、2021年3月、装丁家の矢萩多聞さんが主宰するWEBラジオ『本とこラジオ』に出演しました。

パーソナリティーは矢萩多聞さんとデザイナーのいわながさとこさんです。最初の30分が私の出演で、後半の1時間は装丁家の桂川潤さんの軽妙なトークが繰り広げられます。どうかお楽しみください。

WEBマガジン『雛形』2021年7月に寄稿しました。

『雛形』というWEBマガジンの「小さな本屋さんが選ぶ手触りのあるもの」というコーナーで、お薦めの3冊の本と店の近況を書かせていただきました。他の場所で書いたものと部分的に重なっている所もありますが、これはこれでお読みいただければと思います。


>>雛形 掲載ページ

このたび、カフェ・シェアルームスペース『風の丘』の一角を間借りして、新刊本屋を開業することにしました。屋号を「UNLEARN(アンラーン)」といいます。

丘の上なので風が気持ちよく吹きぬけ、そこから福山市街地を臨むロケーションにはすばらしいものがあります。しかし、あくまで道路からは見えない「隠れ家」のような趣の場所です。

いい街には、いい本屋があると言われます。そして、本が集まる処には人が集まるとも言われます。そのことを少し考えてみました。
「自分の感受性くらい」という茨木のり子の有名な詩があります。そこから引用させてもらうなら、私たちは今、毎日の生活の中で、自分が「ぱさぱさに乾いてゆく心」や「気難しくなってきた」ことが、ますます増えてきているように思います。
多くの人と同様、私も仕事の多忙さや、自分ではどうすることもできない大きな力の前で、時に、つい見失いがちになる「自分」があります。
しかし、それに対し「みずから水やり」をして「自分の感受性くらい」自分で守っていかなければならぬとも詩には書いてあります。
そして、それができない私たちを茨木さんは「ばかものよ」と痛烈に言い放つのですが、街の本屋とは、そういう「水やり」を担うひとつの場所のことを言うのではないか、と思うのです。

私が、自分の本屋でいちばん大事にしたいこと、それは「ことば」というのは、そもそも情報や知識である前に、まずはワクワクする「体験」なのだ、ということです。
なにも、本の情報や知識や冊数がたくさんある場所が、そのまま「ことば」を「体験」できる場所になるとは限りません。むしろ、その情報量に圧倒されて「体験」する意欲がなくなってしまうことも、よくあることだと思います。

そこに「語らい」があるかどうか、だと思いました。「語らい」とは、すぐおしゃべりするということではありません。むしろ、豊かな語らいは「沈黙」の中にあるのではないでしょうか。本の選ばれ方や、並べられ方。あるいは、表紙の色合いや質感。そういったものを直接手に触れて眺めることが「読んでみよう」という気を起こさせるのです。そして、何行かだけでも読んでみる。もしかしたらその中に、今までに出会ったことのないような鮮烈な一行があるかもしれません。そうやって人は不意打ちのように言葉に出会うのだと思います。

そんな、本との語らいを気軽に体験できる場所が、私の考える街の本屋です。
開店の暁には、仕事帰りにでも、どうかふらっと「UNLEARN」を訪れてみてください。駐車場も何台分かあります。
一通りの新刊を眺め終わったら、こんどは奥の「ギャラリー&古本」スペースへ。そこはまた、ぐっと非日常の度合いが深いところのはずです。ギャラリーを眺め、店主をからかいながら本を買った後は、隣にあるカフェコーナーを利用して、買ったばかりの本を広げながらゆっくりとしたひとときを過ごしてください。帰路につくころには、いくらか心も軽くなっているかもしれません。
開店には間に合いそうもありませんが、ゆくゆくはクラフトビールなど、お酒の販売も考えています。

12坪に満たない小さな本屋です。
どうか気軽においでください。
何か特別な日に、というより、ふだんの生活の中でフラッとお立ち寄りください。そして、自分を育てるように街の本屋「UNLEARN」を育ててやって下さい。よろしくお願いします。

屋号とロゴについて

屋号の「UNLEARN(アンラーン)」という言葉は、今から約80年前ヘレン・ケラーがアメリカで、当時学生であった鶴見俊輔さんに語った言葉です。彼女は「自分は大学で多くのことを『まなんだ』(LEARNした)が、それからあとたくさん『まなびほぐさ』(UNLEARNし)なければならなかった」と言いました。
それはちょうど、型どおりのセーターをまず編み(LEARN)、次に、もう一度もとの毛糸にもどしてから、こんどは自分の体型にあわせて編みなおす(UNLEARN)ことと言えるでしょうか。
私は、その精神を自分の本屋の根もとに置きたいと考え、屋号にしました。

そしてロゴは、広島県出身の新進気鋭の絵本作家・長田真作さんにお願いしてデザインしてもらいました。それに、福山市内の20代女性デザイナーが字を入れて完成しました。「UNLEARN」(学びほぐす)ことが、よく表されています。
屋号・ロゴともに、この本屋の進むべき道を照らし出してくれていると思います。

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